がんばっている人

第4回 りょうぜん天蚕の会会長 柳沼 泰衛さん

「誇るべき歴史を心癒される萌葱色に...」

「全然、違うでしょう?」

柳沼さんが言う通りだった。

歴史ある土地で育ててゆく

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繭は柳沼さんの言うように「萌葱色」に輝いていた。その大きさは約5cmほどで、カイコの繭よりかなり大きい。また、稀れには突然変異で黄色系の繭ができることもあると言う。

分類もヤママユガに属し、カイコが桑を餌とし白い糸を吐くのに対し、野生のテンサンは雑木のクヌギやコナラの葉を食べ、自然の光の中で保護色の緑色の幼虫体で過し60日ほどで黄緑の糸を吐いて繭をつくる。そのような違いが、この美しい繭を作り出している。

伊達市霊山町は日本最初の養蚕伝習所が発祥した歴史を持ちながら、農産物の国際化の波に押され、その歴史さえ忘れ去られようとしている。

そのことに天蚕飼育を契機に歯止めをかけるべく、柳沼さんが中心となり「りょうぜん天蚕の会」を発足させた。

自然の生態系を大切に

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今では約20棟の飼育ハウスでエゾノキヌヤナギを利用しテンサンを飼育している。

併せて育ったテンサンを山へ戻し、自然飼育も行っている。

「常に天敵との戦いだよ」

テンサンは鳥や野ネズミのかっこうのエサになってしまうため、その対策にも苦労を重ねてきた。柳沼さんは元々、長きに渡り養蚕に関する業務に携わり、退職後も県農業会議ふるさと福島塾の事務局長も勤めた方だ。

自然が壊され、生態系がドンドン変わってゆくのを目の当たりにし、ふるさとの自然環境の保全の大切さを伝えながら、会員一同の協力のもと、積極的な活動を続けている。

山の神様の贈り物

天蚕を知って欲しいと柳沼さんら会員は「親子天蚕繭工芸教室」や飼育体験・観察会などの交流活動やボランティア活動をしている。

更に、この繭の萌葱色を生かして、会員の八島利幸さんらが中心となりタイピンやブローチなどの加工品の開発も行っている。

この魅力ある加工品は今後、霊山町内を中心とした施設で本格的に販売される予定だ。

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ただ歴史を懐かしむだけではなく、広い人的交流の輪が生まれるようにと様々な活動を通じ、天蚕繭生産拡大、そして利用拡大を目指しているのだ。

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最後に、柳沼さんと飼育ハウスを訪れた。

テンサンは春にふ化し6月以降に繭を作る。季節はまだ早く、蚕を見ることは出来なかったが柳沼さんが大切に想いを込め、飼育に携わっていることは、容易に見てとれた。

萌葱色に輝く繭はまさに山の神様の贈り物であるが、柳沼さんの考える「人と豊かな自然づくり」がここから始まり、今後広がってゆくことだろう。

お問合せ

りょうぜん天蚕の会
〒960-0804 福島県伊達市霊山町中川橋本9
TEL.024(586)3004